エリートな彼は溺愛を隠さない
「ああ。今日だよ。
何、お前、用事でも出来たのか?」

用事で夏哉が来れないならラッキーだ。

「ちげーよ。行くに決まってんだろ。

ただ、チビハゲがビーフジャーキーの入国審査票のデータの打ち込み、寄越して来たんだよな」

「え、それって…」

「そう、仮打ちは今日まで」

「えっ、じゃあどうしても残業になるじゃん」

…やった。夏哉は今日は不参加だな。
心の中でニヤリと笑う俺に奴は煙草の煙を吐き出しながら信じられない事をサラリと言った。

「は?残業?あり得ねぇ。
定刻までに仕上げるよ」

は?…無理だろ。

あの定期船はいつも莫大なデータ量でとても複雑だぞ。
俺も前に五日かけてやっと仕上げたんだ。


< 142 / 164 >

この作品をシェア

pagetop