エリートな彼は溺愛を隠さない
どうして?~綾芽~
通り過ぎる車のテイルランプを何台も見送りながらその横を無言でトボトボと歩く。………彼と。

………。

何で、こんな展開に?

私の手を温かい手でしっかりと繋いで私を引っ張る様に少し前を歩く星野さんを見る。

…酔っているのかしら?
今日は合コンだと張り切っていた様だったけど。

…だけど、あの、星野さんが…?
私と本気で恋愛、ですって…?信じられない。
絶対にからかわれているわ。

入社してから二年間と少し。まともに話したこともろくに無いのよ。



――ふと過去の日々が頭に蘇る。

入社式で初めて彼を見た時、私の全身の脈がドクリと鳴った気がした。

あの時の、他の新入社員と談笑する彼は……そう、誰よりも輝いていた。

…少し茶色がかったサラサラした髪に、スラリと長身の細い身体。

表情豊かなクリクリとした瞳に、笑うと少しだけ見えるキラリとした白い八重歯。

彼の持つ全てに私は一瞬で釘付けになったっけ。




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