エリートな彼は溺愛を隠さない
「綾芽…、でいいよな」

「え」

突然、彼が立ち止まって私を振り返り言った。

「俺も、夏哉でいいよ。
カレシ、だしな」

そう言ってふわりと笑いかけてくる。

か…、か…彼氏…。
嘘よ、そんなの絶対ない。星野さんが…、彼氏だなんて…!?

「ぷっ…。何だその顔」

そう言って私の頬を冷たい指先でフニフニとつねってくる。

私は涙を堪えながら真っ赤になっていた。

でも、分かってる。

星野さんは本気なんかじゃない。

私の事が嫌いなんだもの。

嫌いだから、さっきキスしてきたのよ。
嫌いな私を動揺させて面白がってるだけなのよ。




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