エリートな彼は溺愛を隠さない
「あの、ここなんですけど、どうしてもデータと結果の比率が合わないんです」

彼女は申し訳なさそうに指でその箇所を指し示しながら俺の顔をちら、と見る。

…面倒臭…っ。
何でたかがこんな事、わざわざ俺に聞くんだよ。

「…ああ、これはここの部分の数字を出してから結果を出すんだよ」

「え?」

時間がないのに…。早く行かないと。

そう思いながらも俺は再度パソコンに電源を入れ、それが立ち上がるまでの間、彼女の持って来たデータファイルを手に取りじっと眺めた。

ああ、これは少しややこしいパターンだな。
俺に渡せばいいのにチビハゲめ、わざと彼女に押し付けたな…。

その後、素早く打ち込んで彼女に見せる。

「だから、…こうなって、…こうするでしょ。

そしたら、……ほら」

彼女に分かりやすく、順番にデータを入力していく。

カタカタカタ…。

彼女は俺のパソコンを身を乗り出して覗き込んでいる。





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