エリートな彼は溺愛を隠さない
中に入るとエレベーターの横にある空間に大きなソファーとテーブルがあり、その脇の大きな壺の中に私の背丈程の造花が無数挿してある。
その奥には笹の葉が茂る坪庭が大きなガラス越しに見える。

すごい…。

彼の実家が会社を経営している事は知っていたけど、こんなマンションに一人で住めるなんて。

緊張が更に深まる。

玄関先で、やっぱり冗談だった、と追い返されるんじゃないかしら。

彼と私とでは、全てが余りに違い過ぎるわ。

昼間、偶然聞いてしまった言葉通り…。

『城田さんと星野さんだと不釣り合いだわ』

…その通りだわ。

彼は否定してくれたけれど。
でも、彼自身も自分が分からなくなってきているんじゃないかしら。

何か…そう、勢い、みたいな…?


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