姫×四季(仮)

扉を叩かれたけど…
出るべき?
寝てるフリするべき?
逃げるべき?

酔ってる頭で必死に思考回路を働かせ、出た結論は"隠れる"

ノソノソとベッドの下へと体を動かすと同時に、扉は開けられた。


返事する前に開けるなら
ノックの意味ないと思う。



「あ、起きてる。具合はどう?」



部屋に入ってきたのは
紅葉色のサラサラな赤髪に
二重瞼の目元には
薄めの黒い縁のフレーム眼鏡を掛けた美形の男。
そして黒のスーツに紺のネクタイ



「水飲む?あと頭痛薬も」



そう言って
手に持っていたお盆をアタシの足元に置いてくれた。


アラ?
拉致したワリに
案外優しいじゃない。



「…ありがとうございます」



ちょうど水が飲みたかったから
助かった。


遠慮がちにお盆に乗っかってる水入りのグラスを持ち、『いただきます』と小さく呟き、一気飲み。



「ここはアナタの家?」



空になったグラスをお盆に戻し
赤髪男に尋ねた。



「うん。そうだよ」


「じゃあアナタが拉致したんだ」

「…拉致?」


「酔って寝てる女を、ムリヤリ自分の家に連れ込むなんて…」



< 11 / 23 >

この作品をシェア

pagetop