姫×四季(仮)
扉を叩かれたけど…
出るべき?
寝てるフリするべき?
逃げるべき?
酔ってる頭で必死に思考回路を働かせ、出た結論は"隠れる"
ノソノソとベッドの下へと体を動かすと同時に、扉は開けられた。
返事する前に開けるなら
ノックの意味ないと思う。
「あ、起きてる。具合はどう?」
部屋に入ってきたのは
紅葉色のサラサラな赤髪に
二重瞼の目元には
薄めの黒い縁のフレーム眼鏡を掛けた美形の男。
そして黒のスーツに紺のネクタイ
「水飲む?あと頭痛薬も」
そう言って
手に持っていたお盆をアタシの足元に置いてくれた。
アラ?
拉致したワリに
案外優しいじゃない。
「…ありがとうございます」
ちょうど水が飲みたかったから
助かった。
遠慮がちにお盆に乗っかってる水入りのグラスを持ち、『いただきます』と小さく呟き、一気飲み。
「ここはアナタの家?」
空になったグラスをお盆に戻し
赤髪男に尋ねた。
「うん。そうだよ」
「じゃあアナタが拉致したんだ」
「…拉致?」
「酔って寝てる女を、ムリヤリ自分の家に連れ込むなんて…」