姫×四季(仮)
「何してんだ?」
真上から聞こえてきた男の声。
…誰?
アタシに聞いてんの?
「おーい」
「聞こえてるよ」
聞こえてるけど…
体が動かないんだよ。
MAXに気持ちワルいんだよ。
「はぁ〜。聞いといて正解だったよ、まったく」
男は何やら独り言をブツブツ呟いたかと思ったら、突然、アタシを抱き抱えた…らしい。
全身が宙に浮いてる感覚が
その証拠。
いやいや
どこ連れて行く気?
「…降ろして」
「アンタ結構飲んでる?」
「…うるさい。アンタに…関係ない」
どこのどいつかもわからん男に
アタシの事情なんて知られたくもない。
「まぁいいけど。気持ち悪いならおとなしく眠ってな」
何?偉そうに。
命令される覚えなんてないよ。
だけど
揺れ心地が良いからか
泥酔のせいからか…
瞼は重くなるばかり。
睡魔と葛藤していたはずなのに
いつの間にか眠ってしまった…。
次に目が覚めたのは
知らない家の
フカフカの布団の上だった。