私と彼の秘密の契約
「関係ない……か。くくっ。約束通り、あの先輩の寿命は諦めてやるよ。」
キッチンから戻ってきた塗師君が、ココアの入ったカップを私へ手渡す。
「ありがとう。」
ちょっと口をつける。
甘い。
優しい味。
「だが契約には従って貰う。昨日も言った通り、俺は人間じゃない。死神だ。」
淡々と話す塗師君の言葉は全て非日常的で、にわかには信じがたい。
冗談じゃないんだ。
「死神なんて、ゲームか小説の中にしか居ないものだと思ってた。」
「だが、残念な事にお前の目の前に実在している。まぁ、昔に比べたらだいぶ存在数は減っているし、普通なら人間には認識できないから気づかれない。が、まれにお前みたいに見える人間てのがいるみてぇだな。」
私みたいな。
見えてはいけないものが見えちゃう人間。
小さい頃は、アレが私にしか見えてないなんて知らなくて、周りの人と何か違うなぁって思ってた。
「私は、普通じゃないのかな?」
死神なんて存在しらなかった。
この見える力も、世間でいう霊感とかそういう類のものだと思ってた。
「安心しろ。お前は割と普通だ。まれに人間の中にも見える奴が居るとは聞いていた。まさか、こんなすぐに会えるとは思わなかったけどな。」
「そう……なんだ。」
「あぁ。多分、今だけだ。年を重ねると見えなくなるというのが一般的のようだ。」
そっか、そうなんだ。
ちょっと安心した。
見えなくなれば、この契約から解放されるよね。
「で、具体的に私は何をすればいいの?」
「その前に、俺たちの存在について説明してやる。耳の穴かっぽじってよーく聞きやがれっ!」
キッチンから戻ってきた塗師君が、ココアの入ったカップを私へ手渡す。
「ありがとう。」
ちょっと口をつける。
甘い。
優しい味。
「だが契約には従って貰う。昨日も言った通り、俺は人間じゃない。死神だ。」
淡々と話す塗師君の言葉は全て非日常的で、にわかには信じがたい。
冗談じゃないんだ。
「死神なんて、ゲームか小説の中にしか居ないものだと思ってた。」
「だが、残念な事にお前の目の前に実在している。まぁ、昔に比べたらだいぶ存在数は減っているし、普通なら人間には認識できないから気づかれない。が、まれにお前みたいに見える人間てのがいるみてぇだな。」
私みたいな。
見えてはいけないものが見えちゃう人間。
小さい頃は、アレが私にしか見えてないなんて知らなくて、周りの人と何か違うなぁって思ってた。
「私は、普通じゃないのかな?」
死神なんて存在しらなかった。
この見える力も、世間でいう霊感とかそういう類のものだと思ってた。
「安心しろ。お前は割と普通だ。まれに人間の中にも見える奴が居るとは聞いていた。まさか、こんなすぐに会えるとは思わなかったけどな。」
「そう……なんだ。」
「あぁ。多分、今だけだ。年を重ねると見えなくなるというのが一般的のようだ。」
そっか、そうなんだ。
ちょっと安心した。
見えなくなれば、この契約から解放されるよね。
「で、具体的に私は何をすればいいの?」
「その前に、俺たちの存在について説明してやる。耳の穴かっぽじってよーく聞きやがれっ!」