私と彼の秘密の契約
「俺たち死神の仕事は3つ。お前が黒い人と呼んでいた黒いオーラを纏った人間。俺たちは奴らを悪魔と呼んでいる。悪魔の力を吸い取り、このビンに集める。」

塗師君は、机の引き出しの鍵を開け中から黒い小さなビンを取り出す。
細工の施された綺麗なビンだ。


「それを集めてどうするの?」

「これが俺たちの世界では重要なエネルギー源となる。しかも、悪魔を地上から減らせて一石二鳥だろ。俺はまだ見習いという立場だ。この街に来たのは修行の為だ。このビンに悪魔のオーラを溜める事が此処での俺の試練て訳。」


「なる程。死神の世界にも色々あるんだね。」


「俺はまだ死神になりたてだから、悪魔のオーラが見えにくいし、オーラを隠されると俺には認識できない。そこで、お前には悪魔探しを手伝ってもらいたい訳だ。」


「つまり、あの黒いオーラの人を見つけたら塗師君に教えればいいんだね。」


「まぁ、平たくいうとそういう事だな。」


なんだ、思ってたより簡単かも。


「そう言えば、死神のお仕事はあと2つあるんだよね?」

「ん?あぁ、あとの2つは、有名だから知ってるんじゃないか?死にそうな人間の枕元に立つんだよ。俺たちには人間の寿命が分かる。死にそうな人間をチェックしてお迎えに行くのさ。」


「寿命が、分かる?」

まさか、先輩の寿命が尽きるのが近いから魂を取ろうとしてたのかな!?
先輩からは黒いオーラが見えなかったからオーラを取ろうとしてたとは考えにくいもんね。


「あの……塗師君、もしかして祐先輩、もうすぐ死んじゃうの?」

一瞬、塗師君の顔がきょとんとするがすぐにがってんが言ったって顔になる。


「昨日のアレな。俺たちは人間の寿命を分けて貰って生き長らえている。あの先輩の魂があまりにも美味そうだったからちょっと分けて貰おうとしただけだよ。」


「そ、そんな……。」


じゃあ死神が存在してるってだけで人間の寿命が短くなっちゃうって事じゃない!

「くくっ。そんなにあの男が気になるのか?」


「ちっ、違くてっ!」
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