私と彼の秘密の契約
「そうだ。同じクラスの山田だ。」


いつの間にか塗師君も私のよこにしゃがみこんで、山田君の前で手をかざしている。



「ん……?」


小さく呻いて山田君が目を開ける。


「あれ?えっ!?たっ、橘さん??と、転校生の……。」

「大丈夫かい?目の前で倒れてびっくりしたよ。」

塗師君が手を差出し、山田君はそれに捕まり立ち上がる。


「うっ、うん。大丈夫。あれっ?此処、どこだ??」


周りをキョロキョロ見回す。
本当に分からないみたい。


一体どういう事?


「あはは。道に迷ってたんだね。この道を真っ直ぐ行くと学校の方に行けるよ。」


「まじかっ、ありがとう。じゃあな。」


って私と塗師君に軽く手を振って、山田君は学校への道を歩いていく。



「ねぇ、どういう事なの?」

「お前が教えてくれたんだろ?あいつが悪魔のオーラを纏ってるって。」

確かにそう言ったのは私だけど。

「朝はあんな濃いオーラじゃなかったよ。」


そう。
今朝までは、山田君のオーラは周りに薄く黒いもやがあるなぁって程度だったのに、さっきは誰だか分からないくらいに黒くて濃い霧がまとわりついているみたいだった。

「まぁ、直接的な事は俺の口からは言えないな。確かな事は、人間の恨み、嫉妬、妬みみたいな負の感情がオーラを濃くするって事。」


負の感情……。
朝から今までに山田君に一体何があったんだろう。
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