私と彼の秘密の契約
朝練の後、麻美にそっと近づく。


「麻美、あのねっ!」


私は補欠にして。
そう言おうと思ってたのに。


「あ、美咲!あのさ、サチとも話してたんだけど、美咲をメインで出したいんだよね!やってくれるよねっ!」

「えっ?!」


「なになに、メンバー構成の話し?」


いつの間にかバレーに出場するメンバーが周りに集まってきていた。


「美咲をメインで出したいんだけどさ、あと、私とサチと……」


「あ、いいねぇ。私、補欠で。バスケのほうにも出るからさ。」


「そうだね。バスケ部はそっちに集中したほうがいいかも。」


なんて。
私の意見が言えないまま話しは進んでいった。

それに麻美にお願いされたら嫌だなんて言えないよぉ。



あぁ、気が重いなぁ。




放課後、暗い気分のまま図書館へ行く。



いつもの席。
窓際の……。


習慣のようにその席に目を向ける。

いたっ。


祐先輩がその席で寝ていた。

男子にしたら長めの髪がさらりと机の上に落ちている。


祐先輩のサラサラの髪、触ってみたい。
< 24 / 31 >

この作品をシェア

pagetop