私と彼の秘密の契約
「おい、送る。」


校門を出たところで、また塗師君に話し掛けられる。



「えっ?……まさか、また悪魔に狙われてたりするの?」


「いや。」


この人の行動、本当意味分かんない。

何がしたいんだろう。




「なんだよ。俺が居ると何か不都合でもあんの?」

「いや、そういう訳じゃないんだけど……。」



2日連続で一緒に帰る。
何故か図書館を出るタイミングに合わせて塗師君も出てきてるみたいだけど。


本、読みに来てる訳じゃないのかな。


「悪魔って、あの黒いオーラが無くなったらどうなっちゃうの?」


昨日の山田君を思い出す。


「山田が心配?」


塗師君が意地悪な顔してる。
またなんかからかうつもりだわ。


「山田君が、っていうより。死神にオーラをとられた人はどうなるのかなって思って。」

「山田も可哀想なやつ。」


ぽそりと塗師君がつぶやく。


「え??」


「安心しろ。オーラを抜かれても死にゃしないよ。むしろ、悪い心が浄化される。」



「そっか。よかった。」


山田君が何を恨んでたか分からないけど、その悪い心を抜き取っていつもの山田君に戻ってくれたって事だよね。


「そういえば、私、バレーのスタメンに選ばれちゃったんだ。」


「へぇー、おめでと。バスケやってたんだろ?お前にスポーツができるなんて俄には信じがたいがな。」

って、またその意地悪な笑い方!



「うん。まぁ。そうなんだよね。」


でも、私がどんくさいの、自分で分かってるから何もいい返せない。
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