私と彼の秘密の契約
チャイムが鳴る。

と、同時に担任の池上達也先生が教室に入ってきた。

先生は若くて、かっこいいので女子生徒に大人気だ。

授業も分かりやすいし、たまに雑談なんかも交えてくれるので先生の授業を楽しみにしている生徒は多い。


「おはよう!突然だけど、今日は転校生を紹介する。」


先生がそう言うと教室がざわつく。
転校生?
こんな時期に。
しかも、なんの前触れもなく。


今は5月中旬。
一学期も始まってだいぶたつ。

「塗師君。入って。」



先生の合図と同時に入ってきた男子生徒。
見慣れない制服。
前の学校のものだろうか。


女子生徒があちこちでざわめいてる声が聞こえる。

その気持ちも良く分かるよ。
その転校生、びっくりするくらい綺麗な顔。
中性的な顔に、色素の薄い長めの髪。

芸能人みたいなんだもん。

身長も高めで細身。


「塗師恭一郎です。宜しくお願いします。」

軽くお辞儀をする。


「塗師の席は、橘の横だ。」



一番後ろの席で、横が空いていた私の隣に転校生は座る事になった。


ガタンと音を立てて塗師君は席につく。

挨拶とかしたほうがいいかな?

「あ、あの。よろしく。」

「あぁ。宜しく。」


彼はちょっとだけこっちを見て、そっけなく返事をするとすぐ前を見てしまった。


これって話しかけるなオーラ全開ですよね。



私の転校生の最初の印象は、無表情でちょっと怖いな。だった。
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