私と彼の秘密の契約
「美咲、やったね!あんなイケメンが隣の席だなんて!」

帰り道、家が同じ方向なので麻美の部活の無い日は一緒に帰る。


ちなみに私は帰宅部。

中学ではバスケをやっていたが、膝を痛めてしまった為、高校では続けない事にした。


「確かに綺麗な顔だったけど……なんか怖くない、塗師君。」

「そうかい?昼休み、女子に囲まれていたようだけどうっとおしがりもせず相手してたようだったよ。」


それはちょっと意外だったな。

昼休みは委員会の集まりで教室には居なかったから知らなかった。

ただ、朝のあのそっけない感じから話しかけ難い印象があったから、あまり関わって欲しくないんだろうって勝手に思いこんでた。

「朝、挨拶したんだけどさ、ちょっと素っ気なくて。」


「あのクールな感じが女子の乙女心をくすぐるんじゃないかい!」


って麻美は笑う。
麻美って美人なんだけど、全然男っ気なくて恋愛にはあまり興味がないみたい。

そんな彼女が羨ましくもある。
私は、周りがどんどん彼氏を作って恋愛してるの見て、自分も彼氏作らなきゃって焦ってる。

でも、ただ焦るだけで行動に移す事ができないから彼氏なんて夢のまた夢。


それに、私自身、本当は本気で恋愛したいって思ってないのかもしれない。
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