私と彼の秘密の契約
「おはよう、美咲。今日はゆっくりだね。今日もノート見せて貰おうと思ってたのに。」


今日はチャイムが鳴るちょっと前に登校。


前の席の麻美は毎朝登校してくるのが早い。


「あはは。残念。」


私は席に座ると、チラリと隣を確認する。



塗師君は既に席に居て、クラスの女子数人に囲まれてた。


チャイムが鳴ると同時に塗師君を囲んでいた女子は自分の席へと戻っていく。


挨拶、しそびれちゃったなぁ。


チャイムとほぼ同時に池上先生が教室のドアを開ける。

いつも本当にタイミングいいよね。


「おはようございます!そろそろ体育祭が近いですね!勉強も大事だけど、行事も張り切ってやろう!今日の帰りのミーティングで、体育祭の出場種目を決めましょう。以上です。」


先生は朝のミーティングが終わると、教室を出て行く。


授業までわずかに時間がある。



「美咲!体育祭、何やるの?」

麻美が振り向く。

「うーん。何にしようかなぁ。走るの苦手だから、リレーとかやだなぁ。」

「何言ってんの。元バスケ部が。」


そうなのだ。
私はバスケやってた癖に本当は走るのが大嫌い。

バスケは楽しかったけど、体力作りの為に走るのは本当嫌だった。


「へぇ、橘さん、バスケやってたの?」


唐突に隣から声がする。

びっくりして凄い勢いで隣を見ちゃった。

まさか塗師君のほうから会話に混ざってくるなんて意外過ぎて焦ってしまう。

「そうそう、この子、実は凄く運動できるんだよ。塗師君はなんかスポーツやってた?」


答えたのは麻美。

「前の学校ではテニスやってたよ。」

「あ、俺もテニス部。あ、俺、坂木大地ね。よろしく。」


私からみて斜め前。麻美の隣の席の大地も話しに加わってくる。

大地も一年の頃から同じクラスだ。


「宜しく。」

塗師君は、ちょっと微笑みながら大地に応える。

あれ。
なんだ。笑う事、できるんじゃない。


「テニスやらないの?もうすぐ大会あるし、経験者ならすぐに出れると思うよ。テニス部入らない?」
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