私と彼の秘密の契約
目を凝らしてよく見る。

「え……何?」


ドキドキと心臓の音が速くなる。


そのぼんやりと光って居る人。
顔が見えてしまった。


幽霊じゃない。
塗師君だ!



なんなの?
あの人一体なんなの?



怖くて、目を逸らしたいのに、まるで金縛りに掛かったみたいに塗師君から目が離せない。



塗師君の目が赤く光る。

人間じゃないんだ。

がたがたと膝が震え出す。




塗師君が手を真っ直ぐ前に突き出す。

もやもやとした黒いものが塗師君の手の方へ吸い込まれて行く。




一体何をしているの?


その、もやもやの出てくる方向に祐先輩が居た。

それを知った瞬間、私は走り出していた。



止めなくちゃ。
祐先輩が危ない!


訳も分からずに私はめちゃくちゃに走って、校庭の隅。

塗師君の居る場所へ向かった。
< 8 / 31 >

この作品をシェア

pagetop