G線上のアリア《キミを抱きしめたい》
ゆっくりと足を前に出す。

ふらつく体。


『うん。』


朝日に心配させないように言ったけど。

本当は全然大丈夫じゃない。

一人で病室までなんて行けるわけがない。


まだ、目が見えなくなって三ヵ月しか経ってないし。


「………キャ!」


足に何かぶつかった。

転びそうになる。


「だ…大丈夫!?」


慌てた看護師さんが近づいてきた。


「いつも、一人で歩かないでって言ってるでしょ。」


説教気味に言った後、看護師さんは私に肩を差し出す。
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