G線上のアリア《キミを抱きしめたい》
「…り………友里!」


「は…はいぃ!?」


ボーっとしていた。

そんでもって、目の前にいるこの男の子は…


「なんだ…。朝日か…。」


私の彼氏、小野寺朝日。

同じ学年だ。


「塾は…ないの?」


当たり前だけど、受験で忙しいはずなのに。


「サボった。」


彼はそれだけ言うと、私の手を引っ張って外へ連れ出そうとする。

この病院はわりと大きくて、特設の庭がある。

朝日はどうやら病院の中が嫌いらしい。

…好きな人なんかいないと思うけど。

< 6 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop