噛んじゃった【BL】


とにかくどうにか呼吸が出来るように。

俺が努力しても出来るのはそれ位だ。


変わらずに歯を避けながら、
必死に呼吸をしようとしていると
ふいに彼の舌が、俺のそれに触れた。


しかも舐める。というより、
押し付ける。抉る。

そんな風な勢いだ。



ぐ、と籠められた力に、
感じるものは痛みだけ。


そしてその痛みで、思わず……。


がり。と、
もしかすると自分よりも強く……。


俺の歯が彼の舌に食い込んだ。



口の中に嫌な味が広がり、
改めて起こった事を思い知らせる。



……噛んじゃった。


< 4 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop