わんことにゃんこの愛し方



「じゃ、しゅっぱーつ!!」

奏がペダルを踏んで、だんだんと速度が上がってゆく。

小さくなっていく人や建物。

頬をすり抜けて髪を巻き上げる風。

何もかもが懐かしくて、ふっと体から力が抜ける。


とんっと預けた背中はやっぱり温かくて、でも顔を見られる心配がないからか、
今度は狼狽えなかった。

まだまだ天候が不安定な春。

人肌は気持ちがよかった。




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