わんことにゃんこの愛し方
「新山さんってさぁ……」
聞こえるか聞こえないか程度の小さな声で、理桜の悪口らしきものが囁かれる。
一部だった女子の悪口は、女子特有の波に揉まれて全体に広がってゆく。
男子は気まずげに視線を伏せたままだ。
…なんだよ、お前らに理桜の何がわかるんだよ。
「……お前らっ…」
「おい、何してる!!早く席に着け!」
ガラ、と扉の音と共に先生が入ってくる。
俺の言葉は入ってきた先生の声に遮られて、みんなには届かなかった。
声をきかっかけにみんな散り散りに席についてゆく。
ああ、もう聞けって!
もう一度言おうと思ったら、ぽん、と背中を軽く叩かれた。
振り向こうと思ったら、既に横を通りすぎていく黒髪。