わんことにゃんこの愛し方
ふっと鼻腔をくすぐる甘い香りに、私は眉を寄せる。
「また違う子と付き合ってんの?クソ謙斗。」
昨日までとは違う甘さの香水に、あまりそうゆう類いが得意じゃない私は、つい顔が歪む。
しかもまだ半分抱き締められたままだ、いい加減に離せ、クサイ。
殴ろうと腕を振り上げたら、ケラケラ笑って距離をとられた。
引き際をわきまえられると、それはそれで逆にムカつく。
「ううん、別にだれとも?まぁ今日も三人に告られたけど…っていうかなんだよクソ謙斗って。
いっつもお兄ちゃんって呼んでって言ってるだろ〜?」
ほらっ、可愛く!
あ、いやいつも可愛いけどな!?
なんて笑っているこの男は、新山謙斗、大学生、私の兄だ。