わんことにゃんこの愛し方




ずんずんと、私の手を引っ張って歩くそのスピードは、私が駆け足になるくらい。

足のコンパスからして違うんだ、無理もない。

でもいつもそんなこと気にならないのは、彼が合わせてくれたからなのか。


「……奏?」


名前を呼んでも、緩むことのないスピード。

振り向かないキャラメル。

浮かばない甘い笑み。

だんだん怖くなってきて、私は必死に奏の手を握り返して名前を呼んだ。




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