わんことにゃんこの愛し方
私の涙を見て、はぁと奏は薄っぺらい息を吐き出した。
…こんなことで泣くなんて、って呆れられた?
奏の何気無いひとつひとつの言動が、私をどこかまた暗闇へと追い込んでゆく。
しかし、次に合わされた視線はさっきまでと違って暖かかった。
「…ねぇ、理桜。もう自分のこと嫌いになるのやめよ?前にも言ったけど、理桜は可愛いしキレイになったよ。
確かに昔は謙斗くんも幼かったし、そっくりだった。
…でも、今は違うでしょ?
似てるって言っても、兄妹だって分かる程度だし。
謙斗くんだってもう男だよ、理桜とは違う。
……ね、理桜。何を怖がってるの?」
ここにいるのは私の知ってる犬飼奏だ。
強くなっても大きくなっても変わらない、優しい温度と眼差し。
きゅ、と私は奏の手を握り返した。
今なら、長い間怖くて言えなかったことが言える気がする。
時折思う、自分の存在を。