わんことにゃんこの愛し方

本音





「……みんな、私が"新山理桜"でも、私のこと見てくれるのかなって、よく思うの。

謙斗はあんなにバカっぽいけど、ほんとはすごい色んなこと考えてるって、私は知ってる。
謙斗には敵わないってことも。

私の周りの人はさ、みんな羨ましがるの。
あんなに素敵なお兄さんがいるなんていいね、って。
……特に中学の時がすごかったかな。
みんな私に言うの、『謙斗さんに渡してよ』って、ラブレターを持ちながら。」


思い出しても悲しくなる。

仲のいい女の子が、実は兄貴にしか興味なかったって知ったとき。

私はただのオマケなんだって気付かされたとき。

私は一人では…"新山理桜"って存在では生きていけないって分かった。


「別に恨んだりしてるわけじゃないよ?ただ、納得はしたかな。
私は出来損ないのレプリカなんだって、そう思ったら楽になったの。
笑うでしょ?いっつもはあんだけ女王様みたいに好き勝手してるくせに、ほんとはこんなに怖がりで臆病者なの。」


自嘲の念も含めて言った言葉は、自分でも驚くくらいのものだった。

こんなこと、誰にも話したことなんかないのに。

こんな弱い私を見せたら、みんな離れていっちゃうかも知れないのに。

それでも、奏の前だとすんなりと口は動いた。




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