わんことにゃんこの愛し方
「…うるさいなぁっ!似たくて似たんじゃない!謙斗のクソ!タラシ!ホモ!」
べしっと憎たらしい兄貴の顔面に鞄(入学式のあとにもらった、全教科の教科書が入ってる)を投げつけ、
ひぎゃっと意味不明な奇声を上げたバカをほっといて、ドタドタと階段を上がる。
「おまっ、確かに今日の告白相手男だったけど!!おっけーしてないし俺は女が好きだ!!」
タラシ発言も完全スルー。
わざとらしく音を立てて、私は自分の部屋に飛び込んだ。
ぼふっとベッドにダイブして、どこにもやれない苛立ちを、手足をバタつかせて暴れて抑えようとする。
ひとしきり暴れたあと、むくりと起き上がって鏡を見ると、
そこに映っていたのは、涙がにじんで鼻も赤くなってはいるが、
さっきまで見ていたものと同じ顔。
私の方が鼻が低くて少し幼いくらいだろうか。
でも一目で兄妹だとバレるくらい、同じなのだ。
私のコンプレックス、
それは『男顔』だった。