わんことにゃんこの愛し方




電柱や、家や、散歩中の人、

みんな止まることなく通りすぎて行く。


「速いか?」

「全然、大丈夫だよ。」

「なら飛ばすぞ。」


『しっかり掴まっとけ』


そう言われたと同時に、私の手に修司兄ちゃんの手が重ねられて、

より一層修司兄ちゃんに抱き着く形になる。

少し節のある、大きくてさらっとした気持ちいい手。

なんだかいい匂い。

香水なんて付けるような柄じゃないから、制汗剤かな?

すっきりとした柑橘系の匂いが、密着した背中から届く。


家までの帰り道、二人乗り、距離はゼロ。


奏よりも少し広い背中に、もたれるように頬をくっつける。




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