わんことにゃんこの愛し方




「…理桜、」

お兄ちゃんの声が聞こえても、

手が固まってしまったかのように、

奏の服を掴んだまま離せない。


もう一度謙斗兄ちゃんに名前を呼ばれた。

それが余りにも力のない声で、私まで胸がぎゅっと痛くなる。




「ね、理桜…」


突然優しい声と共に、温かい手が頭にのせられた。

奏の長い指が、私を落ち着かせようと髪をすく。





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