わんことにゃんこの愛し方



コツン、コツン、

薄暗い階段を上る私の足音が大きく聞こえる。

なんとなく、空気がはりつめて感じられた。

さっき教室もやけに静かだったし、これは本気でやばいんじゃないか?

フルボッコはやだなぁ、とつとめて楽天的に考えてはみたが、手にはうっすらと汗が浮き出る。

誰だって、痛いのは怖いし嫌なんだ。


私はけっこう気が強い方だと思う。

いや、内心そうでなくても、周りからはそう見られてきた。

だからといって、気が強いこととケンカが強いことは比例しない。

家の中ではじゃじゃ馬だったし、小さい頃はそれなりに男子と張り合ったりもしたけど、

たぶんもう無理だろう。


……入っていきなり殴られるとか…ない、よね?いやいやないだろ。


最後の段を上り終えて、目の前には古びた銀色、重そうな扉。


「……よし、」


為せばなる!!


ギギギ、と耳障りな音と共に、開いたドアの隙間から光が漏れだし、

そしてそこにはひとつの人影があった。


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