わんことにゃんこの愛し方
「…理桜?どうしたの?」
席を立って、アイツの背中に標準を合わせる。
よし、行ける。
「ねぇ…」
「犬飼くーん!見てみて、このチョコ新作出たの!いちごキャラメル味!!」
声をかけようとしたら、ちょっとだけでた声に被さるように聞こえた、高くてきゃぴきゃぴした声。
ぴょこん。
「……え?」
耳が立った。
「犬飼くん甘いもの好きって言ってたよね〜?だからお裾分け!!」
ひょこん、ぱたぱた。
しっぽが、左右に揺れる。
「え、いーの?ほんと?うわっこれコンビニ限定品じゃん!すげっ!ありがとー!」
お菓子をくれた女の子に、お返しになるくらいの、甘い笑顔。
人懐っこそうに耳はぴょこっと立って、
しっぽはぶんぶん、嬉しそうに揺れる。
ぎりっと歯を食い縛った。
こめかみに青筋が浮かんだのが分かる。
…クソヤロー。
私はそのままガタンと騒がしく椅子に座り直した。
ふんっと鼻をならして、机に頬杖、ノートには黒いぐりぐりの殴り書き。
「理桜…なんかほんと変だよ?」
穂香に訝しげに言われても、もはや言葉を返す気にもなれない。
餌付けされやがって。
私とのケンカは、しょせんチョコで元気になれるレベルなのか。
もう絶対に心配なんてしてやるもんか!
こんのバカわんこめがっ!!