黒羽-kurohane-
1章
「稔ー帰ろうぜー!」
いつもと変わらない放課後。
幼馴染の健悟と一緒に教室を出る。
私と健悟は付き合っているわけではない。
ずっと変わらない、親友だ。
「おい遊崎ーお前も日直だろー!」
「・・・あ、やっべ!忘れてた!」
あはは、と笑いながら教室へと体を向き直した。
「稔、わりぃ、先帰っててくれるか?」
「うん、じゃあねー」
そう言うと健悟は笑い、教室へ戻っていった。
私はそれを見届けてから昇降口へと足を進めた。