Strawberry[更新停止中]
講義をさぼったのは初めてで、いたずらをする子どもの気分になる。
ずっと、先輩と講義受けてたからなぁ‥‥
もっとも、ちゃんと講義を聞いていたのは侑だけで、彼はたいてい侑の隣で眠っていた。
それでも、彼は侑と受けている講義をさぼったことは一度もなかった。
――――二週間前までは。
「侑!こっち」
大学の中庭の一つ。テーブルと椅子が設置してある場所に着くと、ヒロはテーブルの上にどさっとお弁当を置いた。
わかりにくい場所にあるため、この場所を利用する学生は少なく、隠れ家のように、よくいつものメンバーで利用していた場所だった。
まだ朝ということがあってか、他には誰もいなかった。
本格的な夏が近づくこの季節、屋外は少し暑かったが、濃い緑に覆われた木々が日光を遮り、ときどき肌を撫でる風が心地よかった。
「ありがとう」
加奈が、紙袋に入っていた割り箸と、小さなお茶のペットボトルを渡してくれた。
「ほんと、まめよねぇ。こんなものまでしっかり用意してるんだから」
自分の分の割り箸とペットボトルを取り出しながら、呆れたように加奈が言った。
「俺は侑のためにやったんであって、加奈のためじゃないぞ」
「じゃあなんでちゃんと三人分用意してあるのよ。千真は、いつもこの時間は私たちと講義別々でしょ。」
うっ、と言葉につまるヒロを見て、加奈は勝ち誇ったようににやりと笑う。
今日も、加奈の勝ち。
そんなことを思いながら、毎度繰り返される二人の攻防を見て小さく笑う。
わかってる。
最近先輩といない私を見て、気を遣ってくれてるのだ。
私があまり食べていなかったことも、気づいて心配してくれてる。
私が心配させてしまったことを気にしないように、いつもどおりに口喧嘩していることも。
笑った私を見て、二人が少しほっとしたような顔をしたことも。
二人の気持ちが嬉しくて、久しぶりにちゃんと笑えた気がする。
――――先輩とのことが、気にならなくなったわけではないけれど。
今だけは、二人の気持ちに甘えていたいと思った。
ずっと、先輩と講義受けてたからなぁ‥‥
もっとも、ちゃんと講義を聞いていたのは侑だけで、彼はたいてい侑の隣で眠っていた。
それでも、彼は侑と受けている講義をさぼったことは一度もなかった。
――――二週間前までは。
「侑!こっち」
大学の中庭の一つ。テーブルと椅子が設置してある場所に着くと、ヒロはテーブルの上にどさっとお弁当を置いた。
わかりにくい場所にあるため、この場所を利用する学生は少なく、隠れ家のように、よくいつものメンバーで利用していた場所だった。
まだ朝ということがあってか、他には誰もいなかった。
本格的な夏が近づくこの季節、屋外は少し暑かったが、濃い緑に覆われた木々が日光を遮り、ときどき肌を撫でる風が心地よかった。
「ありがとう」
加奈が、紙袋に入っていた割り箸と、小さなお茶のペットボトルを渡してくれた。
「ほんと、まめよねぇ。こんなものまでしっかり用意してるんだから」
自分の分の割り箸とペットボトルを取り出しながら、呆れたように加奈が言った。
「俺は侑のためにやったんであって、加奈のためじゃないぞ」
「じゃあなんでちゃんと三人分用意してあるのよ。千真は、いつもこの時間は私たちと講義別々でしょ。」
うっ、と言葉につまるヒロを見て、加奈は勝ち誇ったようににやりと笑う。
今日も、加奈の勝ち。
そんなことを思いながら、毎度繰り返される二人の攻防を見て小さく笑う。
わかってる。
最近先輩といない私を見て、気を遣ってくれてるのだ。
私があまり食べていなかったことも、気づいて心配してくれてる。
私が心配させてしまったことを気にしないように、いつもどおりに口喧嘩していることも。
笑った私を見て、二人が少しほっとしたような顔をしたことも。
二人の気持ちが嬉しくて、久しぶりにちゃんと笑えた気がする。
――――先輩とのことが、気にならなくなったわけではないけれど。
今だけは、二人の気持ちに甘えていたいと思った。