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第1章 やすらぎの場所
日常
「じゃあ、俺寝るから」
ノートよろしく。
「え、先輩?」
また寝ちゃうの?
退屈な西洋史の講義中、いつものように私の隣に座る彼は、私のことばを無視して本当に眠りだした。
大学に入り、人見知りでなかなか友達のできなかった私、五十嵐侑(イガラシ ユウ)の数少ない友達――――って言っても先輩だけど――――彼、瀧沢耀(タキザワ アキラ)は学部が同じためか、学年が違うのにやたら授業が同じで知り合った。
――――ねぇ、今の講義のノート取ってない?
俺、いつのまにか寝てたんだよね
一人で大教室に座っていた5月の初め、そう言って、いきなり彼が話しかけてきたときはそうとう驚いた。
少し茶色く染めた髪、左耳には一つだけピアスをしている。
気後れしてしまう程に整ったきれいな顔立ちを、少し眠そうにしながら話す彼に、私は初めの頃正直おびえ気味だった。
それ以降、実は同じ講義がたくさんあることがわかって、一緒にいることが増えた。
ぶっきらぼうに見えて実はやさしいところとか、不真面目に見えるのに変なところで真面目なところとか。
一緒にいる時間が増えるほどに彼の隣は居心地がよくなって、いつのまにか、どこよりもやすらぐ場所となった。
今では友達も多いし、別に一人ではないのだが、先輩は変わらずに私の隣に座ってくれるから、この居心地のいい場所を手放せないでいる。
ノートよろしく。
「え、先輩?」
また寝ちゃうの?
退屈な西洋史の講義中、いつものように私の隣に座る彼は、私のことばを無視して本当に眠りだした。
大学に入り、人見知りでなかなか友達のできなかった私、五十嵐侑(イガラシ ユウ)の数少ない友達――――って言っても先輩だけど――――彼、瀧沢耀(タキザワ アキラ)は学部が同じためか、学年が違うのにやたら授業が同じで知り合った。
――――ねぇ、今の講義のノート取ってない?
俺、いつのまにか寝てたんだよね
一人で大教室に座っていた5月の初め、そう言って、いきなり彼が話しかけてきたときはそうとう驚いた。
少し茶色く染めた髪、左耳には一つだけピアスをしている。
気後れしてしまう程に整ったきれいな顔立ちを、少し眠そうにしながら話す彼に、私は初めの頃正直おびえ気味だった。
それ以降、実は同じ講義がたくさんあることがわかって、一緒にいることが増えた。
ぶっきらぼうに見えて実はやさしいところとか、不真面目に見えるのに変なところで真面目なところとか。
一緒にいる時間が増えるほどに彼の隣は居心地がよくなって、いつのまにか、どこよりもやすらぐ場所となった。
今では友達も多いし、別に一人ではないのだが、先輩は変わらずに私の隣に座ってくれるから、この居心地のいい場所を手放せないでいる。