Strawberry[更新停止中]
『侑?』

「‥‥うん」

『‥‥‥元気?』

「‥‥元気、だよ」

懐かしい、声。

この声を聞くといつも安心して眠ってしまっていたっけ。

今はもう、懐かしさと、痛みを呼び起こすものになってしまったけれど。

『急で悪いんだが、明日会える?やっと休みが取れそうなんだ』

「うん、大丈夫」

『じゃあ、明日駅まで迎えに行くから』

「うん」

電話を切って、小さく息をつく。

「侑、大丈夫か?」

先輩はまだ心配そうに私を見つめていた。

「大丈夫、いただきます」

もう一度微笑んで言うと、スプーンをもってアイスをすくう。

少し溶けたアイスはそれでもまだ冷たくて。

でも、平静を装うことに必死な私にはアイスの味はわからなかった。



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