Strawberry[更新停止中]
「ごほっ!!」

弘之はなぜか、またむせてしまったらしい。


「ヒロ、大丈夫?」


‥‥お昼にもこんなことがあったような‥

のどを痛めちゃったのかな?



内心の動揺を必死に隠そうとして、近くにあった水を渡した。



先輩は、きっと私をからかってるだけ―――‥‥‥



今は向かい側に座っているため、弘之の背中をさすってあげることができずにいると




「‥‥‥へえ、」



弘之の反応を見て、先輩はなぜかまた不機嫌そうな顔になる。




「ああ、違いますよ。こいつは、ただこの妹分がかわいくてたまんないだけです」


千真はコーヒーカップを片手ににっこり笑って先輩に言う。



‥‥‥‥‥妹分‥‥って、今、私、の話、してるの?



女は今、私しかいないし‥‥




「ふうん、じゃあそういうお前はそうじゃないわけだ?」


「‥‥さあ、どうでしょうね」



千真はきれいな顔にきれいな笑顔をはり付けたまま、さらりと先輩に言い返す。


先輩の目が、不機嫌から一変して、静かな冷たさを含んで千真を見つめている。




――――――怒って、る‥‥‥‥



なぜかはわからないけれど、




先輩がこんな目をしているときは、きっと、本気。


「先輩、ノート写すんだよね?行こ?」


不自然なことはわかっているけど、早くここから出なきゃ‥‥



「ああ、」



怒られるかと思ったが、素直に聞いてくれた。



「じゃあ、ごめん。先、行くね」


そう言って、財布を出そうとすると、それより早く先輩がテーブルにお金を置いた。




「侑、行くぞ」


それだけ言うと、私の腕をつかんで歩き出した。
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