砂漠に堕ちた天使 番外編
番外編
満月の夜、月の明かりに照らされたふたりのシルエット。



ひとりは長身でたくましく屈強な体つき、重なるもうひとりのシルエットは強く抱きしめれば今にも折れそうなほどの華奢な身体つき。



ふたりを隔てるのは莉世が身に着けている薄い絹の布一枚と、ラシッドの腰から巻かれている布だけ。



「お兄様、本当にここは素敵なところ ずっといてもいいくらい」



「宮殿ならばもっと快適だろうに」



オアシスは時々なら良いが、不自由なところだ。



「だって……ずっとお兄様と一緒にいられるから」



宮殿では執務でほとんど一緒にいられない。



ここでは執務もなく、お兄様を独り占めできる。



「可愛いことを言う」



ラシッドの腕が莉世の膝の裏に差し入れられた。



抱き上げられ、頬を赤らめた莉世の唇が塞がれる。



白檀の香りが鼻腔をくすぐる。



莉世は深まっていくキスに応えた。


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