砂漠に堕ちた天使 番外編
「いなかったわよ 見渡す限りの砂漠だから、貴方のピンク色の布がひらひらしていたから見つけられたの」



「ああ……みんな……」



莉世は顔を両手で覆った。



涙がとめどなく出て来て頬を濡らしていく。



「何があったの?」



「竜巻に飛ばされたんです お願いっ!ここで降ろしてください」



バルクークがどこにあるのか知らないけれど、通行証がないわたしは入れない。



「ここで降ろすって、何をバカなこと言ってるのよ!?ここで降ろしたりしたら盗賊に襲われるか、脱水で死ぬか、寒さで凍え死ぬわ 盗賊に襲われたら慰み者にされて奴隷市場で売られるのがおちよ」



ファラウラが言う。



「そうよ、バルクークに行けばその装飾品を売ってどうにでもなるわ、例えば自分の国へ人を遣わして迎えに着てもらうとか、しっかり準備して国へ帰る用意が出来るわ」



「でもっ、通行証がないわ」



莉世は力なく首を横に振った。



< 15 / 85 >

この作品をシェア

pagetop