砂漠に堕ちた天使 番外編
荷台の薄いカーテンから外を覗くと、そこは街中ではなく、宮殿の門の中のようだった。



露店はなく、静まり返った場所。



かすかに水の音がするのは、ジャダハールのように噴水があるからだろう。



この国も水は困っていなようだ。



ジャダハールは精密な地下水路があり、砂漠の土地ではあるが水には困らないよう国民にもいきわたっている。



******



宮殿に到着した一行は、賓客として迎えられ宮殿に案内された。



莉世は驚いてしまう。



この国の王様はお優しい方なのね。



芸人一座が宮殿の一室を与えられることはジャダハールでもなかった。



莉世たちは荷馬車から降りると、荷物を持って使用人が案内する部屋へ通された。



豪華な宮殿内、莉世は物珍しくないが、ファラウラ達は興奮を隠しきれない。



団長に注意されたほどだ。



莉世はキョロキョロと辺りを見廻した。



大理石で作られた柱と床、金で作られたドア。



それでもジャダハールの美しい宮殿には太刀打ちできないと思ってしまった。



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