砂漠に堕ちた天使 番外編
女の子たちの部屋から廊下に出た莉世は白い柵に近づき中庭をぼんやり見た。



お兄様に会いたい……。



それにしても初めて呼ぶ踊り子が国王より先に姫に披露してもかまわないのだろうか。



お兄様ならおそらく自分が呼んだ踊り子を他の者が先に見学してしまったら気に入らないと思う。



でも、ここにはここの決まりがある。



そういうのが通例なのかもしれない。



莉世は部屋に戻った。



******



彼女たちは美しかった。



特にファラウラの黒髪は編み込まれ、たくさんの光るビーズや鈴で装飾され、動くとジャラジャラと音がする。



きっと重いに違いない。


聞くと、もう10年もやっているから慣れたとの事。



「ファラウラっていくつなの?」



「20歳よ」


わたしと変わらないのね。

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