砂漠に堕ちた天使 番外編
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オアシスで甘い時を過ごした2人。



蜜のように甘い時間は長くは続かなかった。



「ラシッド様、あと数時間で砂嵐がやって来ます」



ラシッドの側近、アクバールが神妙な顔で言いに来た。



「そうか……思ったより早かったな」



「はい……」



アクバールの返事も残念そうに聞こえる。



莉世はポカンと口を開いたまま2人の会話を聞いていた。



砂嵐をただの雨が降るような言い方だ。



「リセ、残念だがこれから宮殿へ戻らなくてはならない」



「ええ、お兄様……じゃなかった、ラシッド……お兄様……」



「まだ言いづらいのだな」



莉世の言葉にラシッドは豪快な笑い声をたてた。



「だって……」



ずっとお兄様と呼んでいたから今更ラシッドだなんて呼びにくい。



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