砂漠に堕ちた天使 番外編
「今回の砂嵐はいつもより大型だ 宮殿に戻った方が安全だろう」



ラシッドは立ち上がると、莉世に手を差し伸べた。



帰り支度を終えたラシッドはガラーナに何か話しかけている。



莉世はオアシスの緑から覗く空を見上げた。



まだ空は青く澄みきっていて、砂嵐が来るとは思えないほどの良いお天気。



「本当に砂嵐が来るのかしら……」



でも砂漠で生まれ育ったお兄様が言うのだから間違いない。



「リセ、何をしている?」



「あ、はい お兄様」



莉世は薄い生地のドレスをはためかせ、ラシッドの待つガラーナへと駈け出した。



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