砂漠に堕ちた天使 番外編
「わかった?ハサートは貴方の事を見せびらかしたいだけなの いいおもちゃだわ」



部屋にひとりだと思っていた莉世は突然の声にビクッと肩を震わせた。



振り返ると、ザハラ姫が立っていた。



そして後ろには莉世の護衛が困った顔をしている。



「ザハラ姫……」



「すぐに飽きてまた別の妃を探すことになるわ 9人の妃は後宮で退屈な日々を過ごしている 貴方もすぐにそうなるわ」



ザハラ姫は大きくため息を吐いて近づいてきた。



「わたしが毒をもった子が病気になった時、宮殿を出ればよかったのよ まさかもっと素晴らしく踊れるきれいなおもちゃがいるなんて思いもよらなかったわ」



ザハラ姫はわたしたちの味方だったの?



「ハサートは何もできない赤ちゃんよ きっと毎晩のように踊れと命令し、飽きれば放っておかれる」



「……わたしだって出来ることなら……」



思わず言ってしまいそうになる。



ただ、心の内を言ってしまって良いものなのだろうか……。



「結婚したくない」と本心を言って、即、牢屋だなんてことにはならない?


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