砂漠に堕ちた天使 番外編
そこにいたのはラシッドだった。



その隣にはアーメッドもいる。



お兄様っ!



ラシッドに近づこうと、莉世の足が数歩、前に出る。



ラシッドはじっと莉世を見ていたが、すぐに国王と話し始めてしまった。



お兄様、どうして……?



そっけない態度に愕然となる。



「リセ?どうしたですか?さあ、みんなが貴方の舞を待っていますよ」



ハサートが召使に頷くと、莉世の手に剣(つるぎ)が渡された。



曲が流れ、莉世は踊り始めた。



踊っているうちにだんだんと冷静さが戻ってきた。



ここで騒いでは大変なことになる。



そう思ったのですよね?お兄様……。



お兄様が近くにいるのなら安心だわ。



きっとわたしを連れ出してくれる。



舞いながらラシッドの視線を感じる莉世だった。



< 58 / 85 >

この作品をシェア

pagetop