砂漠に堕ちた天使 番外編

10

絶対に助けてくれる。



でも……どうして、王子に触られても平然でいられたの?



わざわざわたしをあの場に残し、惨めな思いをさせるなんてひどいわ。



いろいろな思いが莉世を混乱させていく。



だんだんと楽師団の音楽や笑い声などが聞こえなくなり、もうすぐ部屋に入る。



嫌だ、部屋に入ったらもう明日になってしまう。



明日になれば、ハサート王子の……。



莉世は身をひるがえし、衝動的に走り出した。



「リセ様!」



ふたりの護衛は慌てて莉世の後を追う。



女だとはいえ、さすがに鍛え抜かれた動きで莉世が数メートル走った所で捕まってしまった。



「いやっ!」



掴まれた腕を外そうと、莉世は暴れる。



「リセ様!お静かにしてください」



そう言われても今の莉世はパニック状態で聞く耳をもたなかった。



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