砂漠に堕ちた天使 番外編

11

******



緑が遠目に見えてきた。



アクバールはホッと安堵する。



まだ月と星が夜空に輝いているが、あと数時間で太陽が顔を出す。



危険もあるが、快適な温度の時間帯に移動が出来て良かった。



昼間の砂漠の移動は命の危険にかかわる。



特にリセ様のような華奢な方には酷だ。



茂みの中へ馬が進む。



この先に小さな池があり、そこに一座がいるはず。







馬の蹄の音に横になって休んでいたファラウラが身体を起こす。



「リセかしら……」



そう呟いたところで、寒さ除けの黒い布に包まれ顔だけ出した莉世を見つける。



近づくにつれ、頭に白い布を巻いていることに眉を寄せたファラウラ。



心配でファラウラとセリナは莉世の元へ駆け寄った。



「「リセ!」」



「大丈夫です 眠られておりますので起こさぬように」



「あぁ 良かった」



ファラウラは両手を胸の前で組み合わせた。


< 68 / 85 >

この作品をシェア

pagetop