砂漠に堕ちた天使 番外編
~~6時間前~~


「なんだと!リセがいない!?」



宴が終わりに近づくと、国王とハサートは報告を受けた。



何者かが侵入し、莉世が攫われたと言う。



莉世の護衛は縛られ発見された。



「早く探せ!」



ハサート王子が声を荒げて命令する。



慌ただしく兵士たちが出て行くのを、ラシッドは何食わぬ顔で酒を飲んでいた。



無事に抜け出し、砂漠を移動しているはず。



ラシッドは計画が上手くいくことを心の中で祈った。



「何かあったのですか?」



ラシッドは席に着いたハサート王子に聞く。



国王はそのまま退室してしまったらしい。



「あ、いえ、なんでもありません 私もこれで失礼させていただきます 好きな女を連れて行って下さい」



そう言うと、額に汗を浮かばせながら出て行った。



国王をはじめ、あの男も失礼な奴だ。



友好協定を結んだのは無駄だったのかもしれない。



ラシッドは酒をグイッと煽ると、立ち上がった。




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