砂漠に堕ちた天使 番外編

12

「団長、みんな、心配しないで 元通りとはいかないけれど、新しいものをジャダハールで用意すると約束します」



思い出がたくさん詰まっている物の代わりにはならないけれど、あれよりもっと良いものをプレゼントしようと莉世は約束した。



「アクバール、お兄様は……」



「計画では正午過ぎにはこちらにいらっしゃるはずです」



「そう……」



早く会いたいけれど、会うのが怖い。



ハサート王子に触られたり、キスされたりするところを見られていたのだから。




******




ひと段落すると、頭が痛み始めた。



「リセ、顔色が悪いわ 横になって」



ファラウラの言うとおり、布が敷かれた上に身を横たわらせた。



殴られた側頭部がズキズキと痛む。



「目を瞑って 側に居るから」



ファラウラは目を閉じた莉世の亜麻色の髪に手を滑らせた。



< 74 / 85 >

この作品をシェア

pagetop