砂漠に堕ちた天使 番外編
「お前が生きていて嬉しい もう二度とあの絶望感は味わいたくない それを思えばハサートに触れられたことも許せよう」



「お、お兄様っ!また思い出させないでくださいっ!」



冗談めいた意地悪な言葉に、莉世は真っ赤になる。



「クッ」



短い笑いの後、ピンク色の唇が塞がれた。



「奴の痕跡をすべて消し去ろう」



ジャダハールに戻ってから、莉世の体調を考えて、ラシッドは距離を置いていたのだ。



「……はい 二度と思い出さないようにしてください」



莉世は背伸びをして自分からラシッドの唇に唇を重ねた。




2011.7.27  END



< 84 / 85 >

この作品をシェア

pagetop