月の欠片
私はロッカーで愛美が来るのを待っていた。
お客さんから受け取った白い封筒をしまいに来ると思っていた。
─ガチャ─
『愛美?』
愛美は表情がこわばったまま入ってきた。
私に気付いて、
『今日…気分悪いんでもう帰ります…すいません誘っておいて…』
帰りの支度をしながら小さい声で言った。
『愛美?どうしたの?…あの人、誰?』
聞いちゃいけない、触れちゃいけないってわかってたけど、
止められなかった。
『あの人が来た事、圭輔には黙っててください』
それだけ言って愛美は帰ってしまった。
『……愛美!!!』
愛美は呼び声に振り向かず、逃げるようにして帰ってしまった。