月の欠片
店に戻ろうと思ったその時、



─ピリリリリリ─


愛想のない携帯の着信音が鳴り響く。

(タイミングいいなぁ〜)

そう思って携帯を開くと、画面には【哲也】の文字が出ていた。



『もしも〜し!』

あまりのタイミングの良さに、声のトーンが上がる。


『今日さ、仕事終わってから時間ある?』


期待して答える。


『うん、何で?』



『良かったぁ。俺、ちょっとツレに用事あんだけど、ちょっと距離あるから付き合ってくんね〜?』



私は飲みに行くのかと思ってたから、

用事と聞いて少しテンションが下がる。



(なぁんだ。でも暇するよりマシかぁ〜?)


『…わかった、じゃあ仕事終わったら連絡するから。』


『おぅ、わりぃな。』





電話を切って店に戻った。


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